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ノウハウ2026.07.06· 約6

フランスで卸値をどう決めるか |店頭価格は卸値×2〜2.5で決まる

フランスで日本製品を売るとき、多くの日本メーカーが最初につまずくのが「卸値の決め方」です。フランスでは、こちらが決めた卸値を店側がおよそ2〜2.5倍して店頭に並べます。つまり、卸値が店頭価格を決めます。日本の「希望小売価格を先に決めて、そこから掛け率で卸値を逆算する」のとは、価格を決める向きが逆です。この一点を理解しているかどうかで、現地で売れる卸値を設計できるかが決まります。パリ・南仏での取引経験をもとに整理します。

01OVERVIEW価格を決める「向き」が、日本とフランスで逆になる

日本の商習慣では、まず希望小売価格(上代)があります。「この商品は店頭で3,000円で売る」と決めて、そこから8掛け・6掛けといった掛け率で卸値を逆算する。起点は小売価格です。メーカーが売価をコントロールし、卸値はその割り戻しとして出てくる——この順番に、私たちは慣れています。

フランスは逆です。こちら(日本側)が卸値を提示し、フランスの店舗はその仕入れ額をおおよそ2〜2.5倍にして店頭価格を決めます。起点は卸値のほうです。店側が最終的な売価を決める主導権を持っていて、こちらが動かせるのは卸値だけ。だから、卸値をいくらに設定するかが、そのまま現地の店頭価格を左右します。

この「向きの違い」は、頭ではわかっていても、実務では見落とされがちです。日本での売値の感覚をそのまま持ち込んで卸値を決めてしまうと、現地では想定と全く違う店頭価格になって並ぶ。ここが、フランス進出の価格設計でいちばん最初にずれるポイントです。

02DIRECTION卸値×2〜2.5が、そのまま店頭価格になる

現地の店頭価格は、ざっくり「卸値の2〜2.5倍」と考えておくと大きく外しません。南仏の店舗をまわったときも、パリのセレクトショップと話したときも、この掛け率はおおむね共通していました。雑貨でも、文具でも、包装用途の商品でも、店側が仕入れ値に乗せる幅は、この帯に収まることが多い。

これは、店側の事情を考えれば自然な数字です。店は、仕入れた卸値に、自分たちの家賃・人件費・利益を乗せるだけではありません。日本から輸入する商品の場合、関税・TVA(付加価値税)・送料といった輸入にかかるコストも、基本的には買い手であるフランスの店側が負担します。卸値に、これらの輸入コストと店の利益をすべて乗せた結果が、およそ2〜2.5倍という掛け率になるのです。つまりこの倍率は、店側が「これくらい乗せないと商売にならない」という現実から来ています。値切って動かせる余地は、そう大きくありません。

だからこそ、こちらが押さえておくべき計算はシンプルです。卸値を2〜2.5倍した数字が、現地の店頭価格になる。この前提に立って、初めて「では、いくらの卸値なら現地で売れる価格になるのか」という設計ができます。

03MULTIPLE卸値を安易に決めると、何が起きるか

向きの違いを理解せずに卸値を決めると、たいてい次の2つのどちらかが起きます。

ひとつは、卸値を高く設定しすぎるケースです。日本での売値の感覚で「これくらいはもらいたい」と卸値を置くと、それが2〜2.5倍されて店頭価格になります。すると、現地で「この商品ならこれくらい」という感覚から外れた、割高な価格で並ぶことになる。あるパリの店では、こちらとしては妥当なつもりの卸値が、店頭では明らかに手の出しにくい価格帯に乗ってしまい、「良い商品だけれど、この値段では置きにくい」という反応になったことがあります。卸値が高いと、店側は仕入れそのものをためらいます。

もうひとつは、その裏返しで、現地の店頭価格を意識するあまり卸値を下げすぎるケースです。関税・送料・TVAはフランスの店側が負担するので、日本メーカーが受け取るのは卸値そのものです。店頭で売れる価格に合わせようとして卸値を削りすぎると、今度は自社の原価・製造コスト・利益が残らなくなる。輸出のための梱包や手間まで考えると、「これでは続かない」となってしまいます。実際に、現地での価格を気にして一度かなり低い卸値を提示し、あとで自分たちで見直した、という場面もありました。

どちらも、原因は同じです。「卸値が店頭価格を決める」という向きを踏まえずに、日本側の都合だけで卸値を置いてしまう。すると、高すぎれば仕入れを断られ、安すぎれば自社が消耗する。卸値設計は、現地で売れるか売れないかを最初に決めるレバーなのです。

04PITFALLでは、どう卸値を設計するか

順番を逆にするのが基本です。日本の売値から卸値を出すのではなく、現地の店頭価格から卸値を逆算します。

  1. 現地で「いくらなら売れるか」を先に掴む — その商品が、フランスの店頭でどれくらいの価格帯なら手に取ってもらえるか。競合や近い商品の店頭価格を見て、売れる上限の見当をつけます。
  2. 店頭価格を2〜2.5で割り戻す — 売れる店頭価格から逆算すると、店側が受け入れられる卸値の上限が見えてきます。ここが、こちらが提示できる卸値の天井です。なお、関税や送料が重い商品ほど、店側の総コストが上がるぶん、この上限は下がります。
  3. その卸値で、自社の事業が成り立つかを確認する — 割り戻して出た卸値で、自社の原価・製造コスト・利益がきちんと残るか。関税・送料・TVAは店側の負担なので、日本メーカーが見るのは「その卸値で自社が成り立つか」です。ここが合わなければ、商品やロット、原価の見直しが必要になります。

大事なのは、1と2を飛ばして、いきなり「日本ではこの値段だから」で卸値を決めないことです。現地の店頭価格という着地点を先に置いてから、そこへ向けて卸値を設計する。この順番にするだけで、「高すぎて仕入れを断られる」「安すぎて利益が残らない」の両方を避けやすくなります。

なお、卸値の設計には、関税や送料といった輸出特有のコストも関わってきます。このあたりは別の記事で整理していますので、あわせてご覧ください。

05DESIGNまとめ

フランスでの価格設計は、日本とは向きが逆です。日本は小売価格を起点に卸値を逆算しますが、フランスは卸値が起点になり、店側がそれを2〜2.5倍して店頭価格を決めます。だからこそ、卸値をどう決めるかが、フランスで売れるかどうかを最初に決めるいちばん大きなレバーになります。

日本の売値からではなく、現地の店頭価格から逆算して卸値を設計する。この順番を押さえておくだけで、価格設計の最初のつまずきは避けられます。

自社の商品をフランスで売るとき、卸値をどう置けば「売れる帯」に乗るのか——現地での価格感覚や、関税・送料まで含めた設計について相談したい方は、無料相談からお気軽にお問い合わせください。パリ・南仏での取引経験をもとに、具体的な価格設計をご一緒に考えます。

FAQ

よくある質問

Q.フランスでは卸値からどうやって店頭価格が決まりますか?

フランスの小売店は、仕入れた卸値をおおよそ2〜2.5倍にして店頭価格を付けるのが一般的です。つまり、こちら(日本側)が決めた卸値が、そのまま現地の店頭価格を決めます。日本のように「希望小売価格が先にあって、そこから掛け率で卸値を逆算する」のとは、価格を決める向きが逆になります。

Q.日本の掛け率の発想はフランスでも使えますか?

そのままは使えません。日本では上代(希望小売価格)を起点に卸値を逆算しますが、フランスでは卸値が起点になり、店側が2〜2.5倍して店頭価格を決めます。起点が逆なので、「日本での売値を基準に掛け率で卸す」と、現地では想定と違う店頭価格になってしまいます。

Q.卸値を高く設定すると、どうなりますか?

卸値が高いと、それが2〜2.5倍されて店頭価格に跳ね返ります。結果として、現地で「売れる価格帯」から外れてしまい、店側が仕入れをためらう原因になります。逆に卸値を下げすぎると自社の利益が残らないため、店頭価格から逆算して「売れる帯」に収まる卸値を設計することが大切です。

Q.フランスで売れる卸値は、どうやって決めればいいですか?

まず現地で「その商品がいくらなら売れるか(店頭価格の上限)」を把握し、それを2〜2.5で割り戻して卸値の上限を出します。そのうえで、その卸値で自社の原価・利益が成り立つかを確認します。関税・送料・TVAなどの輸入コストは基本的にフランスの店側の負担なので、日本メーカーが見るのは「その卸値で自社が成り立つか」です。日本の売値からではなく、現地の店頭価格から逆算して設計するのが基本です。

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この記事の内容を、パリ常駐チームが実務として代行します。戦略設計から現地商談・成約フォローまで一気通貫。

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